キャンターのAdBlue警告灯が点灯したら?補充しても消えない原因・故障箇所を解説

三菱ふそう キャンターで、AdBlue(アドブルー)の警告が出たり、補充しても警告が消えなかったりして、お困りではありませんか。

  • AdBlueの警告が出た
  • AdBlueを補充したのに警告が消えない
  • 尿素SCRの故障と言われた
  • ドージングモジュールなどの交換を勧められた

こうしたときに大切なのは、警告が出たという理由だけで、特定の部品の故障と決めつけないことです。

キャンターには、AdBlue®を使用するBlueTec®排気後処理装置が採用されている車両があります。尿素SCRシステムには、AdBlueの供給・噴射・検知・制御など、複数の部品や系統が関係しています。

表示内容や故障情報を確認し、必要な点検で原因を絞り込んでから、修理・部品交換を判断しましょう。

状況早見表|AdBlue警告が出たとき

当てはまる項目を選ぶと、記事内の詳しい説明へ進めます。点検の手掛かりとしてご覧ください。症状だけで故障部品を決める表ではありません。

症状・知りたいこと確認する内容
警告表示の意味を確認したいまず表示内容を確認
補充しても警告が消えない残量以外の原因と確認事項
白い結晶が付いている尿素水の結晶化について
警告灯を消したい消去前に確認する故障情報
交換部品を手配したい品番・車両情報での適合確認

AdBlueは何のために使われる?

AdBlue®(アドブルー)は、尿素SCRシステムで使用される尿素水です。

三菱ふそうはBlueTec®排気後処理装置について、排出ガス中にAdBlue®(尿素水)を噴射し、化学反応によってNOxを低減する仕組みと案内しています。

※AdBlue®、アドブルーは、ドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。

尿素SCRシステムの基本的な仕組み AdBlue ドージングモジュール SCR触媒

尿素SCRシステムの基本的な仕組み(イメージ図)

警告が出たら、まず表示内容を確認

最初に確認したいのは、どのような警告・表示が出ているかです。AdBlueの残量に関する表示なのか、尿素SCRシステムなどの異常に関する表示なのかによって、確認すべき内容が異なる場合があります。

AdBlueの残量が不足している場合

対象車両の取扱説明書等に従い、指定のAdBlue®を補充します。

補充しても警告が残る場合

単純な残量不足以外の原因も含めて確認する必要があります。

特に、次のような場合は、表示内容や故障情報を確認しましょう。

  • AdBlueを補充しても警告が消えない
  • 一度警告が消えても、再び表示される
  • 別の警告や異常表示も出ている

原因の診断は、対象車両の整備情報に基づいて行うことが重要です。

型式・年式・仕様による違いに注意

警告表示の種類や制御方法、診断手順は、キャンターの型式・年式・仕様によって異なる場合があります。対象車両の取扱説明書・整備情報等をご確認ください。

補充しても警告が消えない=部品故障?

AdBlueを補充しても警告が消えないからといって、ドージングモジュールの故障とは限りません。

尿素SCRシステムには複数の部品や系統が関係するため、原因を特定するには、故障情報や点検結果を確認する必要があります。

一般社団法人 日本自動車輸送技術協会(ATAJ)の事業用トラックに関する調査でも、尿素SCRの不具合として、次のような項目が報告されています。

  • 尿素水フィルタの詰まり
  • 尿素水の結晶化
  • 尿素センサ不良
  • ドージングモジュール不良

※この調査は事業用トラック全般を対象としており、キャンターだけを対象とした故障率を示すものではありません。

AdBlue 尿素SCR 警告が出た場合の確認ポイント ドージングモジュール 供給系統 センサ

AdBlue・尿素SCRに関する警告が出た場合の確認ポイント(イメージ図)

尿素SCRの異常で確認する主な箇所

診断では、1つの部品だけを見るのではなく、関連する箇所を確認して原因を絞り込みます。

1.AdBlueの残量・使用している液

残量とあわせて、対象車両で指定されているAdBlueが使用されているかを確認します。

2.AdBlueの供給系統

AdBlueをタンク側から供給する系統について、対象車両の整備情報に基づいて確認します。

3.ドージングモジュール

供給されたAdBlueを排気系へ噴射するための部品です。ドージングモジュール自体の不良も、尿素SCRの不具合として報告されている項目の1つです。

4.尿素水の結晶化

尿素水の結晶化も、尿素SCRに関する不具合として報告されています。

5.センサ・制御系

尿素SCRシステムには、各種センサや制御系も関係します。構成・名称・診断方法は、車両の型式・年式・仕様によって異なります。

ドージングモジュールとの関係

AdBlue・尿素SCRの警告について調べると、「ドージングモジュール」という部品名を目にすることがあります。

前述のとおり、AdBlueを排気系へ噴射するための部品ですが、警告が出たという理由だけで、この部品の故障と判断することはできません。

過去には尿素警告灯の誤点灯事例も

警告表示だけで部品交換を判断しないために、知っておきたい過去の事例があります。

2010年:対象となるキャンター

三菱ふそうは2010年、対象となるキャンターについて、エンジンECUのプログラムが不適切なため、エンジン制御および尿素警告灯が誤点灯するおそれがあるとして、サービスキャンペーンを実施しています。

2012年:対象となるキャンター・ローザ

2012年にも、対象となるキャンターおよびローザについて、エンジンECUのプログラムが不適切なため、エンジン制御および尿素警告灯が誤点灯するおそれがあるとして、サービスキャンペーンが実施されています。

現在の警告原因を示すものではありません

これらは、過去の対象車両に関する事例です。「現在のキャンターで警告が出た場合、ECUプログラムが原因である」という意味ではありません。

サービスキャンペーンには、対象となる型式・車台番号・製作期間等があります。現在発生している警告は、対象車両の情報・故障情報・点検結果をもとに判断する必要があります。

「警告灯の消し方」を探す前に

尿素SCRシステムなどに異常がある場合、原因を確認せず、警告表示だけを消すことを目的にするのは適切ではありません。

三菱ふそうはキャンターEXの公式情報で、J-OBDII(車載式故障診断装置)について、異常発生時に警報表示を行い、その故障内容をシステム内に記憶保持すると案内しています。

ただし、警告表示や診断装置への対応状況、診断方法等は、車両の型式・年式・仕様によって異なる場合があります。

修理・部品交換を判断するまでの流れ
  1. 表示内容・故障情報を確認する
  2. 必要な箇所を点検する
  3. 原因を診断する
  4. 必要な修理・部品を判断する

交換が必要になったら、品番・適合を確認

診断の結果、ドージングモジュールなどの尿素SCR関連部品を交換する必要があると判断されたら、次に部品の適合確認を行います。

「キャンター用だから同じ部品」とは限りません。同じキャンターでも、型式・年式・車両仕様などによって使用部品が異なる場合があります。

AdBlue 尿素SCR 診断から部品特定 適合確認までの流れ

AdBlue・尿素SCRの診断から部品特定・適合確認までの流れ(イメージ図)

適合確認に役立つ情報
  • 現在装着されている部品の純正品番・メーカー品番
  • 車両型式
  • 車台番号
  • 年式
  • 車検証情報

現在装着されている部品の品番が分かる場合は、まず品番を確認してください。品番が分からない場合は、車検証情報などをもとに適合確認を行います。

キャンターの尿素SCR関連部品をお探しの方へ

  • 部品の品番が分からない
  • 自分のキャンターに適合するか確認したい
  • 必要な部品について相談したい

太田美品通商では、車両情報や部品品番をもとに適合確認を行っています。

車検証から適合確認する → LINEで品番・適合を問い合わせる →

まとめ|原因を確認してから部品交換を判断

キャンターのBlueTec®排気後処理装置では、AdBlue®(尿素水)を使用して排出ガス中のNOxを低減します。

尿素SCRシステムには複数の部品・系統が関係しており、警告が出たという情報だけでは、交換が必要な部品を判断できません。

  • 警告が出たら、表示内容・故障情報を確認する
  • 必要な点検で原因を診断し、修理・交換部品を判断する
  • 交換部品が特定できたら、品番・車両情報から適合を確認する

参考資料

  • 三菱ふそうトラック・バス株式会社「キャンターEX」公式情報
  • 三菱ふそうトラック・バス株式会社「ふそうキャンターの原動機(制御プログラム)、その他の装置(マルチ情報システム表示プログラム)に関するサービスキャンペーン」(2010年11月17日)
  • 三菱ふそうトラック・バス株式会社「ふそうキャンター、ローザの原動機(エンジンECU)に関するサービスキャンペーン」(2012年12月6日)
  • 一般社団法人 日本自動車輸送技術協会「自動車運送事業における自動車部品の故障・交換等に関する調査」

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。警告表示、診断方法、構成部品、修理手順等は、車両の型式・年式・仕様によって異なる場合があります。実際の診断・整備については、対象車両の取扱説明書・整備情報等に従ってください。