尿素SCRシステムは、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる 窒素酸化物(NOx)を低減するための排出ガス後処理システムです。
この記事では、AdBlue(アドブルー)の役割、DPFとの違い、 主な構成部品、警告が出たときの確認ポイントを解説します。
この記事のポイント
- 尿素SCRは、AdBlueから生成されるアンモニアを利用してNOxを低減します。
- DPFと尿素SCRでは、主に処理する対象が異なります。
- 警告表示だけで故障部品を決めつけず、診断と点検で原因を確認します。
尿素SCRの仕組みとAdBlueの役割
SCRは、Selective Catalytic Reduction(選択触媒還元)の略です。 尿素SCRシステムでは、AdBlueと呼ばれる尿素水を排気系統へ噴射します。
尿素から生成されたアンモニア(NH3)を還元剤として利用し、 SCR触媒上でNOxを主に窒素(N2)と水(H2O)へ変換します。
基本的な流れ
- エンジンから排気ガスが出る
- AdBlueを排気系統へ噴射する
- 尿素からアンモニアが生成される
- SCR触媒でNOxを低減する
AdBlueは、この反応に必要なアンモニアを生成するために使われます。 AdBlueそのものが直接NOxを取り除くわけではありません。
使用するAdBlueは、対象車両の取扱説明書やメーカーの指定を確認してください。
DPFと尿素SCRの違い
どちらも排気ガスをきれいにするための装置ですが、 主に処理する対象が異なります。
| 装置 | 主な対象 | 主な役割 |
|---|---|---|
| DPF | 粒子状物質(PM)・すす | 粒子状物質を捕集・処理する |
| 尿素SCR | 窒素酸化物(NOx) | AdBlueから生成されるアンモニアを利用してNOxを低減する |
車両によっては、一連の排気後処理システムとして組み合わされています。 ただし、DPFと尿素SCRは同じ装置ではありません。
尿素SCRの主な構成部品
尿素SCRは、複数の部品や系統が連携して働きます。 構成は車種・年式・仕様によって異なりますが、主な役割は次のとおりです。
| 部品・系統 | 主な役割 |
|---|---|
| AdBlueタンク | 尿素水を貯蔵する |
| 供給系統 | AdBlueを噴射側へ供給する |
| ドージングモジュール | AdBlueを排気系統へ噴射する |
| 各種センサー | 排気状態などを検知する |
| SCR触媒 | アンモニアを利用してNOxを低減する |
ドージングモジュールとNOxセンサーについては、関連記事で詳しく解説しています。
SCR・AdBlueの警告が出たとき
尿素SCRシステムには、部品・センサー・配管・制御系統などが関係しています。 似たような警告でも、原因が同じとは限りません。
原因となる系統を絞り込むには、次の情報を組み合わせて診断します。
- 表示されている警告の内容
- 故障コード(DTC)
- 関連するデータ
- 実際の点検結果
故障コードだけでも、特定の部品の故障を断定できるとは限りません。
AdBlueを補充しても警告が消えない場合
補充後も警告が続く場合は、まず原因を確認することが大切です。 警告表示だけを根拠に、部品を交換することは避けましょう。
キャンターで補充後も警告が消えない場合の確認ポイントは、次の記事で解説しています。
部品交換前に確認したい情報
診断の結果、部品交換が必要になった場合は、購入前に適合を確認します。 同じ車種でも、年式・型式・エンジン・仕様によって使用部品が異なる場合があります。
適合確認に必要な情報
- 車名・車両型式・年式
- エンジン型式
- 純正品番
- 現在装着されている部品の品番
見た目が似ていても、品番や仕様が違うことがあります。 「車種が同じ」「見た目が同じ」だけで判断しないことが大切です。
品番・適合のご相談
太田美品通商では、車検証情報や純正品番、現物に記載された品番などから、 車両に適合する部品の確認を行っています。
購入前に、部品の適合を確認できます
車検証情報、純正品番、現物に記載されている品番などをお知らせください。
お問い合わせフォーム・メール・LINEなど、履歴が残る方法でご相談いただけます。
この記事の要点
- 尿素SCRは、AdBlueから生成されるアンモニアを利用してNOxを低減します。
- DPFは主にPM・すす、尿素SCRは主にNOxを処理します。
- 警告時は原因を診断し、交換が必要になったら車両情報と品番から適合を確認します。
参考資料
尿素SCRの基本原理と関連部品について:
- Bosch Mobility:Denoxtronic exhaust-gas treatment system
- Bosch Mobility:Denoxtronic dosing module
- Bosch Mobility:NOx sensor
車両ごとの確認について
本記事は、尿素SCRシステムの一般的な仕組みや診断の考え方を解説したものです。 実際のシステム構成、部品配置、警告表示、診断・整備方法は、車種・年式・仕様によって異なります。 点検・整備の際は、対象車両の取扱説明書・整備要領・メーカー情報をご確認ください。
