NOxセンサーとは?役割・警告灯との関係・交換前の確認ポイント

NOxセンサーとは?役割・警告灯との関係・交換前の確認ポイント

NOxセンサーは、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)などを測定し、 排出ガス後処理システムの制御・監視に使われる部品です。

「NOxセンサーの異常と言われた」「警告灯が点いたので交換すれば直るのか知りたい」 という方に向けて、部品の役割から診断の考え方、交換前の適合確認まで解説します。

最初に押さえたいポイント

警告灯が点いた=NOxセンサーの故障、とは限りません。
尿素SCRには、AdBlueの供給系統、ドージング系、各種センサー、制御系などが関係します。 交換する部品は、診断と点検の結果から判断することが大切です。

NOxセンサーの役割

NOxセンサーは、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)や酸素濃度を測定するセンサーです。

NOxは、エンジンの燃焼によって発生する排出ガス成分のひとつです。 ディーゼル車には、このNOxを低減するために尿素SCRシステムを採用している車両があります。

センサーが測定した情報は、排出ガス後処理システムの 制御・監視やOBD(車載式故障診断)などに利用されます。

基本的な働き

  1. 排気ガスの状態を測る
  2. 測定した情報を車両側へ送る
  3. その情報が排出ガス後処理システムの制御・監視などに使われる
NOxセンサーが排気ガスの状態を測定し、制御・監視に利用される仕組み
図1:NOxセンサーの基本的な役割

尿素SCR・AdBlueとの関係

尿素SCRシステムでは、AdBlue(尿素水)を排気系へ噴射します。 AdBlueから生成されるアンモニア(NH3)を利用し、 SCR触媒でNOxを主に窒素(N2)と水(H2O)へ還元します。

NOxセンサーの信号は、SCRシステムでの AdBlue噴射量の評価や、排出ガス後処理の制御・監視などに使われます。

NOxセンサー単体で、AdBlueの噴射量を決めているわけではありません。
各種センサーの情報やエンジンの運転情報などを使い、システム全体で制御しています。

ドージングモジュールとは役割が異なります

部品 主な役割
NOxセンサー 排気ガス中のNOxなどを測定する
ドージングモジュール AdBlueを排気系へ噴射する

どちらも尿素SCRに関係しますが、同じ部品ではありません。

関連記事:ドージングモジュールとは?故障症状・AdBlue警告灯・品番確認まで解説 →

取付位置と上流側・下流側の違い

NOxセンサーの取付位置や個数は、すべての車両で同じではありません。 システムによっては、SCR触媒の上流側や下流側に配置されます。

実際の位置・個数・構成は、車種・型式・年式・仕様・排出ガス規制などによって異なります。

NOxセンサーの取付位置とSCR触媒との関係を示す構成例
図2:NOxセンサーの取付位置の例。実際の位置・個数は車両によって異なります。

複数のNOxセンサーを使用する車両では、 同じ車両でも、取付位置によって使用する部品が異なる場合があります。

交換が必要になったら、「どの位置のセンサーか」「現車部品の品番は何か」を確認します。 車種名や見た目だけで部品を選ばないことが大切です。

警告灯が点いたときの考え方

NOxセンサーや排出ガス後処理システムに異常が検出されると、 車両によってはエンジン警告灯や排出ガス後処理に関する警告が表示され、 故障情報が記録される場合があります。

三菱ふそうの過去のサービスキャンペーンでも、 NOxセンサーに関する不具合により、エンジン警告灯や排気ガス後処理装置の警告灯が 点灯する事例が公表されています。

これは対象となった特定車両の事例であり、すべての車両に当てはまるものではありません。

出典: 三菱ふそう:エアロスターに関するサービスキャンペーン(2023年7月27日公表)

警告表示や故障コードだけで交換を決めない

尿素SCRでは、NOxセンサー以外にも、次のような系統が確認対象になります。

  • NOxセンサー系
  • AdBlue供給系・ドージング系
  • 尿素水・配管系
  • その他のセンサー・制御系
  • 排気後処理系

故障コード(DTC)や警告表示だけでは、特定の部品の故障を断定できない場合があります。
対象車両の整備資料に基づいて点検し、その結果から原因と交換部品を判断します。

警告灯やSCR異常が出たときに、関連する系統を点検して原因を診断する考え方
図3:警告灯・SCR異常が出たときの診断の考え方

確認は「診断 → 部品特定 → 適合確認」の順に

  1. 警告表示・故障情報を確認する
  2. 対象車両の整備資料を確認する
  3. 該当する系統を点検する
  4. 点検結果から原因を診断する
  5. 交換が必要な部品を特定する
  6. 適合を確認して交換する

原因が別の場所にあれば、NOxセンサーを交換しても症状が改善しない可能性があります。 交換する部品は、診断結果をもとに決めることが重要です。

交換前に確認したい3つの情報

NOxセンサーの交換が必要と診断されたら、次の情報をそろえて適合を確認します。

① 現車部品のメーカー名・品番

現在取り付けられているセンサーに表示された、メーカー名や品番を確認します。 表示位置や表示方法はメーカー・車両によって異なるため、 確認できる内容を正確に控えてください。

② 車検証に記載された車両情報

車両型式・初度登録年月・車台番号なども、適合確認の手掛かりになります。 ただし、車検証情報だけですべての部品を特定できるとは限りません。

③ 必要に応じて現車部品の写真

品番が読めない場合や、適合に不明点が残る場合は、写真も確認材料になります。

  • 部品の全体形状
  • メーカー名・品番などの表示
  • コネクター・配線
  • センサー先端・取付部

写真は部品確認の手掛かりですが、見た目だけで適合を判断するものではありません。

NOxセンサー交換前に確認する現車品番、車検証情報、現車部品の写真
図4:NOxセンサー交換前の適合確認に使う情報

適合のご相談・商品案内

太田美品通商では、NOxセンサーをはじめとする自動車・トラック部品の適合確認を行っています。

お問い合わせの際は、現車部品の品番・車検証情報・必要に応じて現車写真をご用意ください。 品番や画像を正確に確認できるよう、お問い合わせフォーム・メール・LINEをご利用ください。

自分の車両に合うNOxセンサーが分からないときは

購入前に、現車品番と車両情報からご相談ください。

お問い合わせフォームで適合確認 →

LINEで品番・適合を相談 →

NOxセンサーの商品情報

下記は取扱商品の例です。記載車種のすべての車両に適合するわけではありません。 購入前に、各商品の品番・適合条件と現車情報をご確認ください。

この記事の要点

  • NOxセンサーは、排気ガスの測定情報を制御・監視に役立てる部品です。
  • 警告灯や故障コードだけで故障部品を決めず、対象車両の整備資料に基づいて診断します。
  • 交換時は、取付位置・現車品番・車両情報を確認し、必要に応じて写真も使って適合を確認します。

参考資料

車両ごとの確認について

本記事はNOxセンサーおよび尿素SCRシステムの一般的な仕組みを解説したものです。 実際の取付位置、個数、部品構成、警告表示、診断方法、交換手順などは、 車種・型式・年式・仕様・排出ガス規制などによって異なります。 診断・整備の際は、対象車両の整備資料やメーカー情報をご確認ください。

キャンターのAdBlue警告灯が点灯したら?補充しても消えない原因・故障箇所を解説

三菱ふそうキャンターのAdBlue警告が補充後も消えないときの確認ポイント

三菱ふそう キャンターで、AdBlue(アドブルー)の警告が出たり、補充しても警告が消えなかったりして、お困りではありませんか。

  • AdBlueの警告が出た
  • AdBlueを補充したのに警告が消えない
  • 尿素SCRの故障と言われた
  • ドージングモジュールなどの交換を勧められた

こうしたときに大切なのは、警告が出たという理由だけで、特定の部品の故障と決めつけないことです。

キャンターには、AdBlue®を使用するBlueTec®排気後処理装置が採用されている車両があります。尿素SCRシステムには、AdBlueの供給・噴射・検知・制御など、複数の部品や系統が関係しています。

表示内容や故障情報を確認し、必要な点検で原因を絞り込んでから、修理・部品交換を判断しましょう。

状況早見表|AdBlue警告が出たとき

当てはまる項目を選ぶと、記事内の詳しい説明へ進めます。点検の手掛かりとしてご覧ください。症状だけで故障部品を決める表ではありません。

症状・知りたいこと確認する内容
警告表示の意味を確認したいまず表示内容を確認
補充しても警告が消えない残量以外の原因と確認事項
白い結晶が付いている尿素水の結晶化について
警告灯を消したい消去前に確認する故障情報
交換部品を手配したい品番・車両情報での適合確認

AdBlueは何のために使われる?

AdBlue®(アドブルー)は、尿素SCRシステムで使用される尿素水です。

三菱ふそうはBlueTec®排気後処理装置について、排出ガス中にAdBlue®(尿素水)を噴射し、化学反応によってNOxを低減する仕組みと案内しています。

※AdBlue®、アドブルーは、ドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標です。

尿素SCRシステムの基本的な仕組み AdBlue ドージングモジュール SCR触媒

尿素SCRシステムの基本的な仕組み(イメージ図)

警告が出たら、まず表示内容を確認

最初に確認したいのは、どのような警告・表示が出ているかです。AdBlueの残量に関する表示なのか、尿素SCRシステムなどの異常に関する表示なのかによって、確認すべき内容が異なる場合があります。

AdBlueの残量が不足している場合

対象車両の取扱説明書等に従い、指定のAdBlue®を補充します。

補充しても警告が残る場合

単純な残量不足以外の原因も含めて確認する必要があります。

特に、次のような場合は、表示内容や故障情報を確認しましょう。

  • AdBlueを補充しても警告が消えない
  • 一度警告が消えても、再び表示される
  • 別の警告や異常表示も出ている

原因の診断は、対象車両の整備情報に基づいて行うことが重要です。

型式・年式・仕様による違いに注意

警告表示の種類や制御方法、診断手順は、キャンターの型式・年式・仕様によって異なる場合があります。対象車両の取扱説明書・整備情報等をご確認ください。

補充しても警告が消えない=部品故障?

AdBlueを補充しても警告が消えないからといって、ドージングモジュールの故障とは限りません。

尿素SCRシステムには複数の部品や系統が関係するため、原因を特定するには、故障情報や点検結果を確認する必要があります。

一般社団法人 日本自動車輸送技術協会(ATAJ)の事業用トラックに関する調査でも、尿素SCRの不具合として、次のような項目が報告されています。

  • 尿素水フィルタの詰まり
  • 尿素水の結晶化
  • 尿素センサ不良
  • ドージングモジュール不良

※この調査は事業用トラック全般を対象としており、キャンターだけを対象とした故障率を示すものではありません。

AdBlue 尿素SCR 警告が出た場合の確認ポイント ドージングモジュール 供給系統 センサ

AdBlue・尿素SCRに関する警告が出た場合の確認ポイント(イメージ図)

尿素SCRの異常で確認する主な箇所

診断では、1つの部品だけを見るのではなく、関連する箇所を確認して原因を絞り込みます。

1.AdBlueの残量・使用している液

残量とあわせて、対象車両で指定されているAdBlueが使用されているかを確認します。

2.AdBlueの供給系統

AdBlueをタンク側から供給する系統について、対象車両の整備情報に基づいて確認します。

3.ドージングモジュール

供給されたAdBlueを排気系へ噴射するための部品です。ドージングモジュール自体の不良も、尿素SCRの不具合として報告されている項目の1つです。

4.尿素水の結晶化

尿素水の結晶化も、尿素SCRに関する不具合として報告されています。

5.センサ・制御系

尿素SCRシステムには、各種センサや制御系も関係します。構成・名称・診断方法は、車両の型式・年式・仕様によって異なります。

ドージングモジュールとの関係

AdBlue・尿素SCRの警告について調べると、「ドージングモジュール」という部品名を目にすることがあります。

前述のとおり、AdBlueを排気系へ噴射するための部品ですが、警告が出たという理由だけで、この部品の故障と判断することはできません。

過去には尿素警告灯の誤点灯事例も

警告表示だけで部品交換を判断しないために、知っておきたい過去の事例があります。

2010年:対象となるキャンター

三菱ふそうは2010年、対象となるキャンターについて、エンジンECUのプログラムが不適切なため、エンジン制御および尿素警告灯が誤点灯するおそれがあるとして、サービスキャンペーンを実施しています。

2012年:対象となるキャンター・ローザ

2012年にも、対象となるキャンターおよびローザについて、エンジンECUのプログラムが不適切なため、エンジン制御および尿素警告灯が誤点灯するおそれがあるとして、サービスキャンペーンが実施されています。

現在の警告原因を示すものではありません

これらは、過去の対象車両に関する事例です。「現在のキャンターで警告が出た場合、ECUプログラムが原因である」という意味ではありません。

サービスキャンペーンには、対象となる型式・車台番号・製作期間等があります。現在発生している警告は、対象車両の情報・故障情報・点検結果をもとに判断する必要があります。

「警告灯の消し方」を探す前に

尿素SCRシステムなどに異常がある場合、原因を確認せず、警告表示だけを消すことを目的にするのは適切ではありません。

三菱ふそうはキャンターEXの公式情報で、J-OBDII(車載式故障診断装置)について、異常発生時に警報表示を行い、その故障内容をシステム内に記憶保持すると案内しています。

ただし、警告表示や診断装置への対応状況、診断方法等は、車両の型式・年式・仕様によって異なる場合があります。

修理・部品交換を判断するまでの流れ
  1. 表示内容・故障情報を確認する
  2. 必要な箇所を点検する
  3. 原因を診断する
  4. 必要な修理・部品を判断する

交換が必要になったら、品番・適合を確認

診断の結果、ドージングモジュールなどの尿素SCR関連部品を交換する必要があると判断されたら、次に部品の適合確認を行います。

「キャンター用だから同じ部品」とは限りません。同じキャンターでも、型式・年式・車両仕様などによって使用部品が異なる場合があります。

AdBlue 尿素SCR 診断から部品特定 適合確認までの流れ

AdBlue・尿素SCRの診断から部品特定・適合確認までの流れ(イメージ図)

適合確認に役立つ情報
  • 現在装着されている部品の純正品番・メーカー品番
  • 車両型式
  • 車台番号
  • 年式
  • 車検証情報

現在装着されている部品の品番が分かる場合は、まず品番を確認してください。品番が分からない場合は、車検証情報などをもとに適合確認を行います。

キャンターの尿素SCR関連部品をお探しの方へ

  • 部品の品番が分からない
  • 自分のキャンターに適合するか確認したい
  • 必要な部品について相談したい

太田美品通商では、車両情報や部品品番をもとに適合確認を行っています。

車検証から適合確認する → LINEで品番・適合を問い合わせる →

まとめ|原因を確認してから部品交換を判断

キャンターのBlueTec®排気後処理装置では、AdBlue®(尿素水)を使用して排出ガス中のNOxを低減します。

尿素SCRシステムには複数の部品・系統が関係しており、警告が出たという情報だけでは、交換が必要な部品を判断できません。

  • 警告が出たら、表示内容・故障情報を確認する
  • 必要な点検で原因を診断し、修理・交換部品を判断する
  • 交換部品が特定できたら、品番・車両情報から適合を確認する

参考資料

  • 三菱ふそうトラック・バス株式会社「キャンターEX」公式情報
  • 三菱ふそうトラック・バス株式会社「ふそうキャンターの原動機(制御プログラム)、その他の装置(マルチ情報システム表示プログラム)に関するサービスキャンペーン」(2010年11月17日)
  • 三菱ふそうトラック・バス株式会社「ふそうキャンター、ローザの原動機(エンジンECU)に関するサービスキャンペーン」(2012年12月6日)
  • 一般社団法人 日本自動車輸送技術協会「自動車運送事業における自動車部品の故障・交換等に関する調査」

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。警告表示、診断方法、構成部品、修理手順等は、車両の型式・年式・仕様によって異なる場合があります。実際の診断・整備については、対象車両の取扱説明書・整備情報等に従ってください。