車のエアコンから異音|風量・A/C操作で変わる音の確認ポイント

カーエアコン技術編・第19話

「風量を上げるとカラカラ鳴る」「風向きを変えるとダッシュボードの奥でカチカチ鳴る」「A/Cを入れたときだけ車の前から音がする」。エアコン使用中の異音でも、音が出る場面によって調べる場所が変わります。

この記事では、普段の使用中に気になり始めた音について、車内で確認できることと、整備工場へ伝えたいことをまとめます。コンプレッサー交換後に音が出始めた場合は、第13話「交換したエアコンコンプレッサーから異音」をご覧ください。

まず確認したいのは、音が変わるタイミングです。

風量を上げたとき、風向きを変えたとき、A/Cを入れたとき。操作を一つずつ変えてみると、整備工場にも症状を伝えやすくなります。

症状早見表|どんなときに音がしますか?

音が出る場面 確認する内容
風量を変えると音も変わる ブロアと空気の通り道
風向きを切り替えると鳴る ドア・駆動部と風の出方
A/Cを入れると車両前方で鳴る コンプレッサーとベルトなどの周辺部品
工場では音が出ない・説明しにくい 録音・動画と発生条件のメモ
大きな音・焦げ臭さ・煙がある 再現確認をやめ、点検を相談

確認は停車中に、操作を一つずつ

安全な場所に停車し、取扱説明書に沿って操作してください。エンジンをかけて確認する場合は、排気がこもる場所を避けます。大きな異音や焦げ臭さがあるときは、音を録るために作動を続けず、使用をやめて点検を相談する目安をご覧ください。

比較するときは、風量を手動にし、温度設定や内外気・吹き出し方向をそろえます。AUTOのままだと複数の設定が変わり、何に連動した音なのか分かりにくくなります。

「カラカラ」「キュルキュル」などの言い方は、そのままで構いません。「風量を2から4に上げると速く鳴る」「足元へ切り替えている間だけ鳴る」と操作も添えると、点検時の手掛かりが増えます。

図1|操作と音の変化から、確認する場所を整理
風量・風向き・A/Cの操作と、ブロア・ドア駆動部・コンプレッサー周辺の確認箇所を整理した図

画像をタップすると拡大できます。点検範囲の目安で、車種によって作動や構造は異なります。

風量を上げると音が変わる|ブロアと通気の確認

車内へ風を送るのが、ブロアモーターとファンです。モーターで羽根を回し、エバポレーターやヒーターコアを通る空気の流れをつくります。[資料1]

風量を変えるたびに音の大きさや鳴る間隔も変わる場合は、ブロア周辺と空気の通り道を確認します。整備工場では、ファンへの異物混入、羽根の汚れ・損傷や接触、回転部分の状態、取り付けの緩みなどを調べます。

フィルター交換や内装作業の直後から鳴り始めたなら、その時期も伝えてください。フィルターやカバーの取り付け状態、作業時に異物が入り込んでいないかを確認する手掛かりになります。内部をのぞくために、ファンを回したままフィルターやカバーを外さないでください。

風を強くすれば、通常の「ゴー」という送風音も大きくなります。以前になかった音、振動、作動の途切れが加わっていないかが相談のポイントです。風量が弱い場合は第18話「車のエアコンの風が弱い」、風が出ない場合は第16話で確認項目を紹介しています。

特定の風量だけ使えない場合は、第17話「最大風量しか出ない」もご参照ください。レジスターなどの風量制御部品は、搭載回路と実際の作動を確認してから手配します。

風向きを変えるとカチカチ鳴る|ドアと駆動部の確認

空調ユニットの中には、吹き出し先などを切り替えるドアがあります。電動式ではアクチュエーター(サーボモーター)がこれを動かします。風量を調整するブロアとは役割が異なります。[資料2]

  1. 風量をそろえ、正面・足元・デフロスターへ順に切り替えます。
  2. 切り替える間だけ鳴るのか、操作後も続くのかを確認します。
  3. 吹き出し口の近くに手をかざし、風が出る場所も変わるか確かめます。

複数の出口から同時に風が出たり、デフロスター選択で風量やA/Cの状態が自動で変わったりする車種もあります。取扱説明書の説明と照らし合わせてください。詳しい手順は第18話の風向き確認にまとめています。

短い作動音で終わる場合と、カチカチ音を繰り返して風向きも変わらない場合では、整備工場へ伝える内容が違います。後者ではドア・リンク・駆動部に加え、操作や制御の状態も点検します。録音に「足元へ切り替えた直後」などの説明を添えておくと分かりやすくなります。

A/Cを入れると車両前方で鳴る|ベルトや周辺部品も確認

風量設定をそろえたままA/Cをオン・オフし、車両前方から聞こえる音がどう変わるかを記録します。車内から分かる範囲で十分です。音源を探して、回転中のベルトやファンへ手・スマートフォンを近づけないでください。

ベルト駆動車では、コンプレッサーが働くときの負荷に伴って、補機ベルトの滑りや周辺部品の振動が表れることがあります。コンプレッサー本体とあわせて、ベルトの緩み・劣化、テンショナー、プーリー、ブラケットや配管の取り付けも点検します。DENSOの異音点検資料でも、これらを別々の確認箇所として挙げています。[資料3]

「キュルキュル」と表現される音では、ベルトの張力や摩耗、プーリーの並び、テンショナーの状態も確認します。Gatesも、張力不足やテンショナーの不具合とベルト鳴きの関係を説明しています。張り直しでよいか、部品交換が必要かは整備工場で判断します。[資料4]

A/C操作に伴って冷却ファンなどの作動も変わる車両があります。また、クラッチ式・クラッチレス式・電動式でコンプレッサーの動き方は異なります。A/C表示のオン・オフは、録音時の操作条件として記録してください。実際の作動状態は、整備工場で車両の制御方式に合わせて確認します。

一般的なベルト駆動のクラッチ式では、A/Cオフでもプーリーは回ります。オフにして音が残る場合も、プーリーや周辺補機を含めた点検が必要です。コンプレッサーを交換した直後から鳴る場合は、第13話の交換後の点検項目をご覧ください。

録音・動画は、操作パネルと音の変化を一緒に残す

「工場に着くと音がしない」という場合でも、録音や動画があれば、どんな状態だったかを共有できます。撮影は安全に停車した車内で行い、運転中の撮影はしないでください。

  1. 操作前から録る:音楽やラジオを止め、音が変わる前の状態も残します。
  2. 操作パネルを映す:風量・風向き・A/C表示が分かる位置から、操作を一つずつ変えます。
  3. 短く説明する:「風量を上げます」「足元へ切り替えます」など、何を操作したかを声で添えます。
  4. 聞こえる場所と時間をメモする:助手席の足元付近、ダッシュボードの奥、車両前方など、分かる範囲で記録します。

音が出ないときは、再現のために長時間作動させたり、エンジン回転を上げたりする必要はありません。朝の始動直後、雨の日、しばらく冷房を使った後など、普段鳴る条件を伝えてください。スマートフォンでは拾いにくい音もあるため、録音と体感の説明を合わせて使います。

整備工場へ伝えるメモ

  • 鳴り始めた時期・直前のフィルター交換や修理
  • 風量・風向き・A/Cのどの操作で変わるか
  • 聞こえる場所・一瞬か連続か・繰り返すか
  • 冷えや風量の変化、振動・臭い・警告表示
  • 始動直後・暖まってからなど、発生する条件

大きな音や焦げ臭さがあるときは、再現確認をやめる

大きな金属音、急に強くなった振動、焦げ臭さや煙がある場合は、録音よりも使用をやめることを優先してください。音が続く、警告灯が点灯するなどの場合は安全な場所に停車し、整備工場やロードサービスへ相談します。

冷房が効いていても、新しく発生した異音や繰り返す音は点検を受けてください。異音対策として冷媒やオイルを自己判断で追加せず、音が出る箇所と作動状態を確認してもらいます。

相談前に、音が出る場面をメモしておきましょう

風量に合わせて変わる音、風向き切り替え時の音、A/C操作で車両前方から出る音。それぞれ、確認する部品や作動が異なります。操作の前後を録った動画と、発生する条件のメモを用意しておくと、整備工場での問診に役立ちます。

参考資料

交換部品が決まったら、品番と現品写真で適合確認

実車の故障診断・測定は整備工場へご依頼ください。太田美品通商では、点検で交換が必要になったブロアモーターや関連電装部品、コンプレッサーなどの適合・在庫確認を承ります。

ブロワモーターの商品一覧、レジスターの商品一覧もご参照ください。

お問い合わせには、車台番号全桁・現品ラベルや刻印の品番・現品写真をご用意ください。写真はラベル、部品全体、コネクター・取り付け部が分かるものを、整備工場で確認できる範囲でお送りください。

ご注文前に、交換部品の適合確認を

車両情報、ラベル・刻印の品番、部品全体と接続部の写真で確認します。

適合確認フォーム LINEで適合確認 メールで相談

車種・空調方式によって構造や作動条件は異なります。実車の点検・整備は、車両と部品メーカーの整備要領に従ってください。アイキャッチはイメージ、本文図解は点検項目を整理したもので、特定商品の形状・適合を示すものではありません。