カーエアコンの高圧・低圧とは?圧力パターンと故障診断の確認ポイント

カーエアコンの高圧・低圧と故障診断を紹介するアイキャッチ。赤と青の圧力計を配置

カーエアコン技術編・第7話

カーエアコンが冷えないとき、整備工場では高圧側・低圧側の圧力を測り、冷凍サイクルの状態を確認します。


高圧・低圧は、故障原因を絞り込むための診断材料です。圧力だけで故障部品を断定することはできません。

圧力は冷媒量だけでなく、外気温、熱負荷、回転数、風量、エキスパンションバルブの状態、コンプレッサーの制御方式などによっても変わります。

この記事では、高圧側・低圧側の位置、代表的な圧力パターンから考えられる原因候補、実車の診断で確認したい項目を解説します。

高圧側・低圧側はどこ?

一般的なエキスパンションバルブ方式では、冷媒はコンプレッサー、コンデンサー、レシーバー、エキスパンションバルブ、エバポレーターを通り、コンプレッサーへ戻ります。

高圧側

コンプレッサーの吐出側から、エキスパンションバルブの入口まで。
コンデンサーやレシーバーは、この高圧側にあります。

低圧側

エキスパンションバルブの出口から、コンプレッサーの吸入側まで。
エバポレーターは、この低圧側にあります。


コンプレッサー、コンデンサー、レシーバー、エキスパンションバルブ、エバポレーターを通る冷媒の流れと、高圧側・低圧側を示した図
図1:エキスパンションバルブ方式の代表的な冷凍サイクル。コンプレッサーで加圧され、エキスパンションバルブで減圧されます。
画像を押すと、大きな図を別タブで確認できます。

コンプレッサーは低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して高温・高圧のガス冷媒として送り出します。

コンデンサーで放熱・凝縮した冷媒は、高圧の液冷媒としてエキパンへ送られます。エキパンで減圧された後は、エバポレーターで熱を吸収しながら蒸発し、コンプレッサーへ戻ります。

なぜ高圧と低圧をセットで測るのか?

両方の圧力を確認すると、圧縮・放熱・凝縮・減圧・蒸発などがどのような状態にあるかを考える手掛かりになります。

  • 高圧側:コンプレッサーの圧縮や、コンデンサーの放熱・凝縮状態を考える材料
  • 低圧側:冷媒の供給、蒸発、エバポレーターでの吸熱状態を考える材料
  • 両者の組み合わせ:重点的に点検する箇所を絞り込む材料

ただし、冷凍サイクルの各部は互いに影響します。高圧側の測定値が高圧側の部品だけ、低圧側の測定値が低圧側の部品だけを表すわけではありません。

正常圧力は、車両と測定条件で変わる

すべての車両に共通する一組の圧力値だけで、正常・異常を判断することはできません。圧力に影響する主な条件には、次のものがあります。

  • 外気温と車室内の熱負荷
  • 冷媒の種類と充填量
  • エンジン回転数
  • ブロワ風量
  • コンデンサーへの風量と冷却ファンの作動
  • エキスパンションバルブの状態
  • コンプレッサーの種類・制御方式

可変容量コンプレッサーなど、制御によって圧縮量が変わるシステムでは、制御状態もあわせて確認します。


実車では、対象車両の整備要領書に記載された測定条件と基準値を優先します。

代表的な4つの圧力パターン

ここでいう「高い・低い」は、対象車両の指定条件における基準と比較したものです。以下は原因候補を考えるための傾向で、故障部品を確定する表ではありません。


高圧側と低圧側の圧力の組み合わせを4パターンに分け、考えられる原因と診断時の注意点をまとめた図
図2:高圧・低圧の代表的な組み合わせと原因候補。圧力パターンだけで断定せず、温度・冷媒量・風量・制御状態とあわせて判断します。
画像を押すと、大きな図を別タブで確認できます。

① 高圧・低圧とも高い

代表的な確認項目は、冷媒の過充填やコンデンサーの放熱不足です。

コンデンサーフィンの汚れ・詰まり、冷却ファンの作動不良などで風量が不足すると、十分に放熱・凝縮できず、高圧側が上がる原因になります。規定量を超えた冷媒充填でも、圧力が高くなる場合があります。

② 高圧・低圧とも低い

冷媒不足が代表的な原因候補の一つです。ただし、圧力だけで不足と確定せず、測定条件や他の点検結果と照合します。

不足が確認された場合は、補充だけで終わらず、ホース・配管・Oリング・接続部・コンデンサー・エバポレーター・コンプレッサー周辺などから漏れていないかを調べます。

③ 高圧が低く、低圧が高い

コンプレッサーが十分に圧縮できていない可能性を考えます。圧縮能力が低下すると、低圧側を十分に下げられず、高圧側も十分に上げられない場合があります。

ただし、エキパンの開きすぎや制御異常などでも似た傾向が出る場合があります。コンプレッサー本体の故障と即断せず、作動・制御状態も確認します。

④ 高圧が高く、低圧が低い

高圧側から低圧側へ、冷媒が十分に流れていない可能性を考えます。

  • エキスパンションバルブの作動不良
  • レシーバードライヤーの流路制限
  • 液配管などの流路制限

なお、流路制限があっても、高圧側の挙動は条件によって異なります。エキパンが詰まれば必ず高圧が上がる、という判断はできません。

高圧が高いことと、コンプレッサーの圧縮不足は別です

高圧側が高すぎる場合は、まずコンデンサーの放熱・冷却ファン・冷媒の過充填を確認し、整備履歴によっては空気などの非凝縮ガスの混入も調べます。一方、圧縮不足では、高圧側を十分に上げられず、低圧側を十分に下げられない傾向が見られます。「高圧が高いからコンプレッサー交換」とは判断せず、どちらの状態なのかを切り分けることが大切です。

高圧が高くなる原因と確認箇所はこちら

技術参考:DENSO コンプレッサー診断表(原因候補の参考。実車の数値・手順は車両メーカーの整備要領を優先します)。

圧力を見たあと、どこを確認する?

例えば、高圧・低圧がどちらも低いときは冷媒不足を疑います。そこから配管接続部の油染みや漏れ検知器での反応を確認すると、修理する箇所を絞れます。圧力に、温度・霜・漏れ跡を組み合わせて点検します。

表の「高い・低い」は、車両指定の測定条件と基準値に対する比較です。整備工場での点検の目安としてご覧ください。

圧力・症状 疑う状態 次に確認する箇所
高圧・低圧とも低く、冷えが弱い 冷媒不足 接続部・シール部などの油染みと漏れ。冷媒量の確認方法は車両の指定に従う。
高圧・低圧とも高い 過充填、コンデンサーの放熱不足 規定充填量と作業記録、フィンの汚れ、冷却ファンの作動・風量。
低圧が高く、低圧ホースやサービスバルブ付近が異常に冷たい エキパンの開きすぎ、外付け感温筒の接触不良 配管温度、エキパンの作動。感温筒がある構造では取付状態も確認。
低圧が低く、レシーバー前後に温度差がある レシーバーの詰まり 入口・出口の温度。詰まりが著しい場合は出口側配管に霜が付くことがある。
高圧が低く、停止直後に高圧・低圧が急速に均圧する コンプレッサー内部の弁の損傷・異物噛み込みなど 運転中の圧力差、実際の駆動・制御状態と停止後の変化を記録し、指定の圧縮点検を行う。

低圧配管の結露だけでは異常とはいえません。冷え具合と圧力を合わせ、どの位置が異常に冷たいか、どこに霜が付くかまで確認します。

技術参考:DENSO コンプレッサー診断表

停止後に圧力がそろうまでの変化も記録する

一般に、コンプレッサーが圧縮を始めると低圧側は下がり、高圧側は上がります。停止後はその差が小さくなり、均圧に向かいます。停止時の値や均圧までの時間は車両構造や温度などで変わるため、共通の圧力値・秒数で交換を決めることはできません。

圧縮不足が疑われる場合は、運転中の高圧・低圧と、停止直後からの変化を一緒に記録してください。点検を依頼するときも、この記録が原因確認の手掛かりになります。

症状に合う部品の確認へ

最初は冷えるのに、しばらくすると冷えなくなる場合

入庫直後は冷えていても、時間がたつと症状が出ることがあります。この場合は、冷えている時と、冷えなくなった時の状態を比較することが大切です。再始動すると冷える場合も、再始動する前の状態が原因を探す手掛かりになります。

整備工場へ伝えると役立つ情報

冷えなくなるまでの時間、停車中か走行中か、風の強さも弱くなるか、再始動や時間を置くと回復するかを伝えてください。

① 冷えなくなった時、コンプレッサーは作動しているか

まず、その時点のコンプレッサーの駆動・制御状態を確認します。クラッチ式では、プーリーが回っているだけで作動中とは判断せず、クラッチがつながっているかを確認します。停止している場合は、電源・リレーなどの電気系統と、車両側からの作動指令を調べます。

停止中の圧力変化を、作動中の圧縮能力と混同しないことが重要です。可変容量式などは、対象車両の整備要領に従って制御状態も確認します。

② 作動しているなら、高圧・低圧の変化を比較する

  • 低圧が高め、高圧が低めになった:十分な圧力差を作れているかを確認します。駆動・制御状態や測定条件を確かめたうえで、コンプレッサーの圧縮能力を点検します。
  • 両方の圧力が高くなった:コンデンサーの通風、冷却ファンの作動、冷媒の充填量を確認します。冷えている間だけでなく、症状が出た時にもファンが正常に作動しているかを確認します。
  • 低圧が下がり、特定の場所に霜や大きな温度差が出た:エキパンやレシーバーなどの流れを確認します。詰まりの判断には、圧力とともに霜の位置・配管温度を使います。高圧が低いという結果だけでは、詰まりの場所までは決まりません。

③ 風の量も弱くなっていないか

「風は出るがぬるい」のか、「風そのものが弱くなった」のかも確認します。エバポレーターが凍結すると、空気が通りにくくなることがあります。風量が落ちている場合は、圧力だけでなく、エバポレーターの霜付きや送風系統も点検します。

技術参考:DENSO コンプレッサー診断表。圧力・霜・温度差の診断項目をもとに、確認の順序を整理しています。

冷媒不足が確認されたら、補充だけで終わらせない

漏れが残ったままでは、補充して冷えるようになっても再び冷媒が減ります。漏れ方によっては冷媒とともにオイルも失われるため、漏れ箇所を修理し、車両・部品メーカーの指定に従って冷媒とオイルを管理します。

冷媒漏れに補充だけで対応するリスクと、修理時の確認ポイント

コンプレッサーが作動しない場合の確認

A/CをONにしても作動しない場合、コンプレッサー本体以外に原因があることもあります。

システムは圧力スイッチや圧力センサーなどを使って状態を監視しています。冷媒不足などで圧力が低すぎる場合や、放熱不足・過充填などで異常に高い場合は、保護のため作動を停止することがあります。

車両の構成に応じて、次の項目も確認します。

  • ヒューズ・リレー
  • マグネットクラッチ・クラッチコイル
  • 配線・コネクター
  • 圧力センサー・温度センサー
  • ECUの制御状態
  • 可変容量制御バルブ

停止時の圧力だけで冷媒量は判断できない

A/C停止後は、時間の経過とともに高圧側と低圧側の圧力差が小さくなっていきます。

停止時の圧力は冷媒温度などの影響を受けるため、その数値だけで充填量を正確に判断することはできません。

冷媒量の確認・調整は対象車両の指定に従い、必要に応じて回収したうえで、規定量を重量管理して充填します。

サイトグラスの見え方だけでも判断しない

サイトグラス付きの車両では、冷媒の流れや気泡を確認できます。ただし、気泡がないことだけで、適正量とは判断できません。

サブクールコンデンサーを採用したシステムなどでは、サイトグラスの見え方だけで規定量を判断できない場合があります。車両メーカー指定の充填量と点検方法を優先します。

故障診断で確認する項目

一つの数値や症状で交換部品を決めず、測定条件をそろえ、複数の情報から原因を絞り込みます。

基本的な確認項目

  • 外気温・回転数・風量などの測定条件
  • 高圧・低圧の状態
  • 配管温度・吹出口温度
  • コンデンサーの放熱状態
  • 冷却ファンの作動
  • 冷媒量と冷媒漏れ
  • エキスパンションバルブの状態
  • レシーバーや配管の流路制限
  • コンプレッサーの圧縮・制御状態
  • 電気系統・センサー類

このリストは、必ず上から順番に作業するという意味ではありません。車両や症状によって、電気制御やファン作動などを早い段階で並行して確認する場合もあります。

コンプレッサー交換前に、故障原因まで確認する

原因を確認せずにコンプレッサーだけを交換しても、冷え不良が改善しない場合があります。

また、回路内に異常が残っていれば、新しいコンプレッサーにも負担をかける可能性があります。

  • コンデンサーの放熱不良
  • 冷却ファン不良
  • 冷媒の過充填・不足
  • エキスパンションバルブの異常
  • レシーバードライヤーや配管の流路制限
  • 回路内の異物や水分
  • コンプレッサーオイルの状態

再故障を防ぐには、壊れた部品の確認に加えて、なぜ壊れたのかを調べることが重要です。

まとめ|高圧・低圧をほかの点検結果と組み合わせる

  • コンプレッサー吐出側からエキパン入口までが高圧側です。
  • エキパン出口からコンプレッサー吸入側までが低圧側です。
  • 正常圧力は、車両と測定条件によって異なります。
  • 圧力の組み合わせは、確認箇所を絞り込むための手掛かりになります。
  • コンプレッサーが動かない場合も、保護制御や電気系統を確認します。
  • 停止時圧力やサイトグラスだけでは、適正冷媒量を判断できません。
  • 圧力・温度・冷媒量・風量・制御状態を総合して診断します。

部品交換の前に、冷凍サイクル全体の状態を確認し、原因を絞り込むことが重要です。

車種ごとの点検条件・基準値について

本記事は、カーエアコンの故障診断における代表的な考え方を解説しています。圧力値・制御方法・部品構成は、車種・年式・冷媒・外気温・コンプレッサー方式などによって異なります。

実車の点検・修理では、対象車両の整備要領書およびメーカー指定の点検条件・基準値を確認してください。

部品の適合確認には、品番・車両情報・現品写真をご用意ください。車台番号は省略せず全桁お知らせください。

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リビルト部品を交換しても直らない?不具合時の確認事項と保証判定の流れ

リビルト部品交換後の不具合時に確認する5項目と、返却商品の点検による保証判定の流れ

リビルト部品へ交換したあとに、「同じ症状が出た」「交換したのに直らない」「しばらく使ったら不具合が出た」となれば、不安や不満を感じるのは当然です。

修理には部品代だけでなく、作業時間や工賃もかかります。「交換した部品が悪いのでは?」と考える方もいると思います。

太田美品通商にも、交換後の不具合や保証について、さまざまなお問い合わせをいただきます。

車両に不具合が出ていることと、交換した部品そのものに不具合があることは、必ずしも同じではありません。

保証判定では、症状や修理内容を確認するとともに、返却された商品そのものを点検し、不具合の原因を調べる必要があります。

この記事では、太田美品通商で確認する5項目、商品の返却と単体点検が必要な理由、保証判定の流れを説明します。

まず、商品の不具合と車両側の原因を切り分けます

交換後に不具合が発生した場合は、次の両面から原因を確認します。

① 取り付けた商品そのものに不具合がある

② 車両側・取付状態・関連部品などに原因がある

商品に原因があるのに、車両側の問題と決めつけることはできません。反対に、車両側に原因が残っていれば、商品だけを交換しても同じ症状を繰り返す可能性があります。

太田美品通商が詳しい状況をお伺いするのは、原因を正しく確認し、同じ不具合の再発を防ぐためです。

不具合時に確認する5項目

確認項目 お知らせいただきたい内容
① 前回の交換理由 最初にどのような症状があり、その部品を交換したのか
② 同時に交換した部品 対象商品以外に交換した関連部品
③ 前回の修理内容 点検・清掃・洗浄・調整など、実施した作業
④ 今回の症状 症状の内容、発生するタイミング、頻度、警告灯の状態など
⑤ 商品に原因があると判断した根拠 測定値、故障コード、作動確認、別の商品への交換結果など

① 前回、その部品を交換した理由

例えばオルタネーターであれば、「充電しない」「警告灯が点灯した」「異音がした」など、最初に交換した理由を確認します。

最初の故障原因が別の場所にある場合、部品だけを交換しても症状が再発することがあります。

② 同時に交換した関連部品

対象商品以外に、どの部品を交換したかを確認します。関連部品の不具合が、新しく取り付けた部品へ負担をかける場合があるためです。

例えばA/Cコンプレッサーでは、レシーバータンク、エキスパンションバルブ、配管、コンデンサー、冷却ファンなど、エアコンサイクル全体の状態が関係します。

③ 前回の修理内容

部品交換に加えて、関連部品の点検や清掃など、どのような作業を行ったかを確認します。

配管洗浄、燃料ライン清掃、オイルライン点検など、必要な確認や作業は部品によって異なります。前回の作業内容は、再発原因を絞り込むための大切な情報です。

④ 今回の不具合内容

「壊れた」「調子が悪い」だけでは、原因を判断できません。分かる範囲で具体的にお知らせください。

  • いつ、どのような状況で症状が出るか
  • 常に発生するか、時々発生するか
  • 異音があるか
  • 電圧や圧力に異常があるか
  • 警告灯が点灯しているか

⑤ 商品に原因があると判断した根拠

次のような測定・診断の結果を確認します。

  • 電圧の測定結果
  • 高圧・低圧の測定結果
  • 診断機で確認した故障コード
  • 単体作動の確認結果
  • 別の商品へ交換したあとの変化
「別の商品に交換したら直った」という情報も、重要な判断材料です。

ただし、その事実だけで返却商品そのものの不良が確定するわけではありません。状況確認と現品点検を合わせて判断します。

太田美品通商での保証判定の流れ

  1. 不具合のご連絡・状況確認
    交換理由、関連部品、修理内容、今回の症状、測定結果などを確認します。
  2. 対象商品の返却
    ご案内に沿って、点検する商品をご返却いただきます。
  3. 返却商品の単体点検・テスト
    商品そのものに不具合があるかを調べます。
  4. 点検結果と保証条件を確認
    保証期間、商品ごとの条件、取付・使用状況などを確認します。
  5. 保証可否の判定・ご案内
    純正リビルトについては、最終的な保証可否はメーカー判断となります。

最終的には、返却された商品を単体で点検します

状況を確認したあと、返却された商品そのものを点検・テストします。車両で発生していた症状と、商品の状態を照らし合わせるための重要な工程です。

単体テストで不具合が確認された場合

商品の異常と保証条件を確認したうえで、保証対応を行います。純正リビルトの最終的な保証可否はメーカー判断です。

単体テストで不具合が確認できない場合

返却商品で異常を再現・確認できない場合は、商品そのものの不良を確認できません。当社では、基本的に保証対象外となります。

車両側、取付状態、配線、周辺部品などを改めて確認する必要があります。

現車で症状が出ていても、単体点検では異常が確認できないことがあります

車両では症状が出ていたのに、取り外した商品をテスターで確認すると正常に作動する。このようなケースがあります。

確認したいのは、実際に出ていた症状の原因が、返却商品にあるかどうかです。

車両には、電源、配線、ECU、センサー、バッテリー、冷却系、燃料系、吸排気系など、多くの部品や条件が関係しています。

そのため、現車で症状が出ていても、商品単体には異常がない場合があります。車両での症状と、商品単体の点検結果を分けて確認する必要があります。

代品の手配前に原因確認が必要な理由

「車が使えないので、先に代わりの商品を送ってほしい」というご要望をいただくことがあります。早く修理を終わらせたいお気持ちは、当社も理解しています。

ただし、原因が分からないまま商品だけを交換すると、車両側に残っている原因によって、同じ症状が再発したり、交換した商品に再び不具合が発生したりする可能性があります。

例えば、高圧異常、電圧異常、異物混入、潤滑不良などが残っている場合です。

原因を正しく確認し、同じ不具合を繰り返さないことを重視しています。

そのため、交換理由や修理内容、測定結果などの確認と、返却商品の点検をお願いしています。

部品ごとに確認するポイント

不具合の原因を調べる際に確認する項目は、部品によって異なります。以下は代表例です。項目に該当する症状があるだけで、原因が車両側と確定するわけではありません。

部品 主な確認項目
セルモーター オーバーラン、チャタリング、取付状態、車両側電源など
オルタネーター バッテリー状態、電圧異常、オーバーチャージなど
A/Cコンプレッサー 高低圧、レシーバータンク、エキスパンションバルブ、配管汚染、ガス量、オイル量、冷却系など
燃料系部品 燃料タンク、燃料フィルター、水分・異物、燃料ライン、インジェクター、制御系など
ターボチャージャー エンジンオイル、オイルライン、異物、吸排気系、DPF・触媒・マフラー、過給圧制御など

保証対象外になる代表的なケース

太田美品通商では、返却商品の点検結果と保証規定をもとに保証可否を判断します。次のような場合は、保証対象外となります。

  • 当社で点検した結果、商品単体に異常がない場合
  • 故障原因が車両側にある場合
  • 取付不良や取扱いに問題がある場合
  • 商品を分解した、または分解した形跡がある場合
  • 不具合商品を返却できない場合
  • 保証期間を過ぎている場合
  • 部品ごとに定められた保証条件を満たしていない場合

また、保証対象は基本的に商品本体です。脱着工賃、車両運搬費、代車費用、レッカー費用、営業損失などの付随費用は保証対象外です。

上記は代表例です。商品ごとの詳しい条件と正式な保証規定は、次の案内をご確認ください。

太田美品通商「返品・保証について」を確認する →

お問い合わせ時にお知らせいただきたいこと

再修理には時間も手間もかかります。業務で使用する車両であれば、車が止まること自体が大きな問題です。

できるだけ早く正確に状況を確認するため、分かる範囲で次の内容をまとめてお知らせください。

ご連絡時の確認メモ

① 前回、その部品を交換した理由:

② 同時に交換した関連部品:

③ 前回の修理・点検・清掃内容:

④ 今回の症状・発生する状況:

⑤ 測定結果・故障コード・診断内容:

詳しい状況確認と現品点検は、正確な保証判定と、同じ不具合を繰り返さないために必要な工程です。

保証判定で大切なのは、原因を正しく確認すること

交換後に不具合が発生しても、その時点で商品不良と断定することはできません。前回の修理内容、今回の症状、測定結果、返却商品の状態を合わせて確認します。

覚えておきたいポイント
  • 交換理由・同時交換部品・修理内容を確認する
  • 今回の症状と測定・診断結果を確認する
  • 返却された商品を単体で点検する
  • 単体で不具合が確認できない場合、当社では基本的に保証対象外となる
  • 純正リビルトの最終的な保証可否はメーカー判断となる

商品に原因があるのか、車両側や取付状態などに原因があるのか。そこを正しく確認することが、修理と再発防止につながります。

原因を正しく確認し、同じ不具合を繰り返さないこと。

太田美品通商では、この点を重視して状況確認と保証判定を行っています。

本記事について

本記事は、太田美品通商における保証判定の考え方を説明したものです。実際の保証可否は、返却商品の点検結果、保証期間、商品ごとの保証条件、取付・使用状況などを確認したうえで判断します。

正式な保証条件は、太田美品通商WEBショップ「返品・保証について」をご確認ください。

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NOxセンサーとは?役割・警告灯との関係・交換前の確認ポイント

NOxセンサーとは?役割・警告灯との関係・交換前の確認ポイント

NOxセンサーは、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)などを測定し、 排出ガス後処理システムの制御・監視に使われる部品です。

「NOxセンサーの異常と言われた」「警告灯が点いたので交換すれば直るのか知りたい」 という方に向けて、部品の役割から診断の考え方、交換前の適合確認まで解説します。

最初に押さえたいポイント

警告灯が点いた=NOxセンサーの故障、とは限りません。
尿素SCRには、AdBlueの供給系統、ドージング系、各種センサー、制御系などが関係します。 交換する部品は、診断と点検の結果から判断することが大切です。

NOxセンサーの役割

NOxセンサーは、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)や酸素濃度を測定するセンサーです。

NOxは、エンジンの燃焼によって発生する排出ガス成分のひとつです。 ディーゼル車には、このNOxを低減するために尿素SCRシステムを採用している車両があります。

センサーが測定した情報は、排出ガス後処理システムの 制御・監視やOBD(車載式故障診断)などに利用されます。

基本的な働き

  1. 排気ガスの状態を測る
  2. 測定した情報を車両側へ送る
  3. その情報が排出ガス後処理システムの制御・監視などに使われる
NOxセンサーが排気ガスの状態を測定し、制御・監視に利用される仕組み
図1:NOxセンサーの基本的な役割

尿素SCR・AdBlueとの関係

尿素SCRシステムでは、AdBlue(尿素水)を排気系へ噴射します。 AdBlueから生成されるアンモニア(NH3)を利用し、 SCR触媒でNOxを主に窒素(N2)と水(H2O)へ還元します。

NOxセンサーの信号は、SCRシステムでの AdBlue噴射量の評価や、排出ガス後処理の制御・監視などに使われます。

NOxセンサー単体で、AdBlueの噴射量を決めているわけではありません。
各種センサーの情報やエンジンの運転情報などを使い、システム全体で制御しています。

ドージングモジュールとは役割が異なります

部品 主な役割
NOxセンサー 排気ガス中のNOxなどを測定する
ドージングモジュール AdBlueを排気系へ噴射する

どちらも尿素SCRに関係しますが、同じ部品ではありません。

関連記事:ドージングモジュールとは?故障症状・AdBlue警告灯・品番確認まで解説 →

取付位置と上流側・下流側の違い

NOxセンサーの取付位置や個数は、すべての車両で同じではありません。 システムによっては、SCR触媒の上流側や下流側に配置されます。

実際の位置・個数・構成は、車種・型式・年式・仕様・排出ガス規制などによって異なります。

NOxセンサーの取付位置とSCR触媒との関係を示す構成例
図2:NOxセンサーの取付位置の例。実際の位置・個数は車両によって異なります。

複数のNOxセンサーを使用する車両では、 同じ車両でも、取付位置によって使用する部品が異なる場合があります。

交換が必要になったら、「どの位置のセンサーか」「現車部品の品番は何か」を確認します。 車種名や見た目だけで部品を選ばないことが大切です。

警告灯が点いたときの考え方

NOxセンサーや排出ガス後処理システムに異常が検出されると、 車両によってはエンジン警告灯や排出ガス後処理に関する警告が表示され、 故障情報が記録される場合があります。

三菱ふそうの過去のサービスキャンペーンでも、 NOxセンサーに関する不具合により、エンジン警告灯や排気ガス後処理装置の警告灯が 点灯する事例が公表されています。

これは対象となった特定車両の事例であり、すべての車両に当てはまるものではありません。

出典: 三菱ふそう:エアロスターに関するサービスキャンペーン(2023年7月27日公表)

警告表示や故障コードだけで交換を決めない

尿素SCRでは、NOxセンサー以外にも、次のような系統が確認対象になります。

  • NOxセンサー系
  • AdBlue供給系・ドージング系
  • 尿素水・配管系
  • その他のセンサー・制御系
  • 排気後処理系

故障コード(DTC)や警告表示だけでは、特定の部品の故障を断定できない場合があります。
対象車両の整備資料に基づいて点検し、その結果から原因と交換部品を判断します。

警告灯やSCR異常が出たときに、関連する系統を点検して原因を診断する考え方
図3:警告灯・SCR異常が出たときの診断の考え方

確認は「診断 → 部品特定 → 適合確認」の順に

  1. 警告表示・故障情報を確認する
  2. 対象車両の整備資料を確認する
  3. 該当する系統を点検する
  4. 点検結果から原因を診断する
  5. 交換が必要な部品を特定する
  6. 適合を確認して交換する

原因が別の場所にあれば、NOxセンサーを交換しても症状が改善しない可能性があります。 交換する部品は、診断結果をもとに決めることが重要です。

交換前に確認したい3つの情報

NOxセンサーの交換が必要と診断されたら、次の情報をそろえて適合を確認します。

① 現車部品のメーカー名・品番

現在取り付けられているセンサーに表示された、メーカー名や品番を確認します。 表示位置や表示方法はメーカー・車両によって異なるため、 確認できる内容を正確に控えてください。

② 車検証に記載された車両情報

車両型式・初度登録年月・車台番号なども、適合確認の手掛かりになります。 ただし、車検証情報だけですべての部品を特定できるとは限りません。

③ 必要に応じて現車部品の写真

品番が読めない場合や、適合に不明点が残る場合は、写真も確認材料になります。

  • 部品の全体形状
  • メーカー名・品番などの表示
  • コネクター・配線
  • センサー先端・取付部

写真は部品確認の手掛かりですが、見た目だけで適合を判断するものではありません。

NOxセンサー交換前に確認する現車品番、車検証情報、現車部品の写真
図4:NOxセンサー交換前の適合確認に使う情報

適合のご相談・商品案内

太田美品通商では、NOxセンサーをはじめとする自動車・トラック部品の適合確認を行っています。

お問い合わせの際は、現車部品の品番・車検証情報・必要に応じて現車写真をご用意ください。 品番や画像を正確に確認できるよう、お問い合わせフォーム・メール・LINEをご利用ください。

自分の車両に合うNOxセンサーが分からないときは

購入前に、現車品番と車両情報からご相談ください。

お問い合わせフォームで適合確認 →

LINEで品番・適合を相談 →

NOxセンサーの商品情報

下記は取扱商品の例です。記載車種のすべての車両に適合するわけではありません。 購入前に、各商品の品番・適合条件と現車情報をご確認ください。

この記事の要点

  • NOxセンサーは、排気ガスの測定情報を制御・監視に役立てる部品です。
  • 警告灯や故障コードだけで故障部品を決めず、対象車両の整備資料に基づいて診断します。
  • 交換時は、取付位置・現車品番・車両情報を確認し、必要に応じて写真も使って適合を確認します。

参考資料

車両ごとの確認について

本記事はNOxセンサーおよび尿素SCRシステムの一般的な仕組みを解説したものです。 実際の取付位置、個数、部品構成、警告表示、診断方法、交換手順などは、 車種・型式・年式・仕様・排出ガス規制などによって異なります。 診断・整備の際は、対象車両の整備資料やメーカー情報をご確認ください。